二人(2) - 絡まり - side f

「このキス好き」



そういって微笑みながら彼の唇に咬み付く
温度の上がった息で少し開いた唇
そっと舌を差し込まれる
その舌に自分の舌で触れる
意識が感覚に感覚が舌に
自分の体が舌だけになったように錯覚する
柔らかくて濡れていて淫靡で愛しい赤
口紅よりも赤くてずっと自然で当たり前の色
いやらしくて色っぽくて挑発的な質感
野生的で動物的で本能的な動き
どこまでも絡まり上る二人の味
腿の間で彼の足が動く
舌の感覚から一気に引き戻される
びくんと跳ねる背中
飛び魚が呼吸の為に海面に出るように私の口は息をぬるく吐く
吐いた息はとても重たくて霧散しながら二人の間に落ちた
肌蹴た服の隙間から彼の手が入ってくる
さっきの舌と同じ仕種
彼の背中のつるつるした肌を触る
自分の体が跳ねる旅に私の舌や手や息が止まる
彼の体は感じる動きは見せても動きが一切止まらない
男の人って不思議
お腹に彼のが当たる
熱くてごつごつしている
感じてくれてるのかな
首筋から胸の上を指と舌で戯れる
彼の片手が胸を包む
胸の上にあるのに胸の中に彼の手があるような感覚
なんだかほっと落ち着く懐かしい感覚
ぞわぞわと神経が胸に上ってくる
彼の手が導くように私の神経を集める
少しずつ胸の先の先に
神経の密度が高くなっていく
肉体的な動きだけじゃなくて心までもその刺激の前に止まる
また彼の腿が私の腿の間で動き出す
もう快感の波に備える事ができない
体中から弾けた神経が無数に増えていく
反射する事しかできないカラダはもう自分のモノじゃないみたい
光に翻弄されて跳ねるカラダ
与えられる光に反応する神経の集まった部分
呼吸と彼に伝える為にただただ喘ぐ私の喉
それでも欲しいモノはそれぞれがわかっていて一つに繋がる
彼が欲しい



「ね 欲しい」
「うん」