眠りにつくまでの15分

ひんやりと粘度のある闇が手を広げている
包むように犯すように少しずつ染込んでくる
トマトジュースのような指先が心と体の隙間に差し込まれていく
見たくない考えたくない自分のグロテスクな部分
想像力という暴力
目をつぶっても叫んでも抑えられない変えられない
自分が悲しすぎるほど独りだとわかってしまう
不安や憂鬱の塊が青と黒が混ざったように自分を引き裂く
いつもいつも同じ深い独りの夜
ちっぽけで無力な自分が強大な想像力に掻き消されていく
気管が細くなり息苦しい
眼には涙が溜まる
もう止めたい何もかも
遥か下を走る車は物凄い速度で世界を回している
音を鳴らさない携帯で祈るようにメールを打つ
この闇の手に頭を撫でられて眠れたらどれだけ幸せだろう
あと少しで眠れる
ぷつっと糸が切れるように体の電源が切れる
頭が重たくぼんやりしてくる感覚で薬の効き具合がわかる
夢もない眠り
人生にぽっかり空いた穴
夢を夢見る今日の傷跡