なんでもない夜に

車の調子が見たかったんだ
ついでに話し相手が欲しかったんだ
ただそれだけ
なんとなく一人じゃ嫌で
二人っきりってのも性に合わなくて
そんな話をしてたら4人になってた
それぞれを迎えにいく中で
真面目な話とかして
とても偶然で大事な機会を作れたんだと思えた



深夜の高速を誰かの持ってきた音楽が流れる
車の調子を見ながら適当な相槌を打つ
いつでもこうやって集まれるってのは良い事だよな
仕事の愚痴、人間関係、少し昔の話
いつもどこでもお決まりの話題
使い古されたけれど
そんな事はあまり関係なくて
鋭い意見に唸り
大変な状況に悩み
思わぬ一言に笑い
悲しい結末に共感して



海辺の電飾を見つけ休憩ついでに車を止める
少し凝り始めた肩を解しながら伸びをする
夜の潮風が吹き抜ける
お疲れ様と覆い被さって来る
寒いと声を上げながら笑いあう
電飾の明りで海は見えない
平日のこんな時間にこんな所にいる物好きなんて僕らだけだよね
目の前の雰囲気の良さそうなお店にだって幽霊が出そうだ
その店でピザとホットワインを頼む
わざわざ外で食べなくてもいいのに
寒い事に乾杯なんていいながら電飾を見上げてた
昼間は賑わうビジネス街も今は誰もいない
この街の主人公みたく道の真ん中をワインを飲みながら歩く



友達って言うほど深くなくて
ただの知り合いって言ったらそれまでで
一緒にお酒が呑めるって言うのはなんだか楽しい
特別なんてものからは一番遠いもの