自分が知っている自分なんて本当にごく一部なんだ

「泣いていいんだよ」
って言いながら抱きしめてくれたあなた



ずっと前からそうして欲しかったように
小さい頃にあやしてもらっていたように
なんだか懐かしくて
喉の奥に甘酸っぱいモノが溢れてきた
とめどなくて
とまらなくて



夜の温度に痺れた手の甲に落ちた水滴
それが自分の涙だって気づくのに時間が掛かった
知らない間に流れていた
自分の中にこんなに涙があったのかって
ずっとずっと流れてた



ずっと
ずっと
ずっと




髪を撫でてくれるあなたの柔らかい指
伝わるあなたの熱っぽい優しさ
確かに飲みすぎたけど
確かに疲れていたけど
…確かに



なんだか自分がわからなくなって
感情に流されるようにそこから逃げ出した
こんな自分を見せるのが恥ずかしくて
自分じゃないような気がして



帰ってから後悔して
でもそれからも逃げたくて
居なくなるように眠った
頭の奥の
ずっと昔からある小さな部屋
あなたの声が響いてた




「泣いていいんだよ」



「泣いていいんだよ」


「泣いていいんだよ」

「泣いていいんだよ」



どんな音楽よりも
どんな絵画よりも
ずっと響いていて
ずっと色鮮やかで