落日に想う

夕暮れの河川敷を汚れたシャツで歩いた
振り返ると遊んでいた場所が遥か小さく
ずっと夕方だったらいいのにって思った
夜でもなく昼でもなく
みんなで走り回ってられる唯それだけの時間
家に帰りたくないわけじゃないんだけど
ふてくされた気持ちなんとかしたくて
道端の小石を蹴りながら帰った
通り過ぎる近所の人はみんな声を掛けてくれた
恥ずかしくってろくに返事もしなかった
鳴き続ける蝉と時折り吼える犬
蚊に刺された痕だけが家に帰る足を速めさせた
すっかり日が暮れてからもまだ家に着いてなかった
人影も疎らで風が気持ちよかった
わざわざ電灯のない家から少し離れた駐車場へ上った
停めてあるトラックの屋根に登って寝転んだ
星が大きくていっぱいで飲み込まれそうだった
ぼくはここにいるって大声で心の中で叫んだ
急に心細くなって周りを見渡した
だれかに聞かれたんじゃないかって不安になった
わからない罪悪感が夜と星とともに降って来た
脇目も振らずに走って家の扉を叩いた



今じゃ夜の街は明るくなって
星の数は随分減った
目が濁り悪くなったのか
心を亡くして気付かなくなったのか
薄く曇った空を見上げる事もなくなるのだろうか?