魂響に零れる雫

頭蓋の裏にこびり付いたタールみたいな思念
じわっと滲み出して頭の中を覆う
脳を取り出して頭蓋の裏を爪か何かで剥がしたくなる
深い深い緑色した暗い感情がふつふつと目を開き始める
体を巡る血液が同じ色に染まる
やがて肌や爪や髪の毛までも
変わり果てる思い



殺したくなる壊したくなる無くしたくなる
引っ掻いて噛み付いて捨てたくなる
噛み砕いて粗略して飲み込みたくなる



大切な何かを
朝を歌う鳥達を
急ぎ足で通り過ぎる駅の改札を
ゆっくりと上るエスカレーターを
点滅する信号を
先が見えない夜を
疲れた夜のキャンドルの灯りを
色褪せたアルバムを
小さい頃からの宝物を
消えかけている街灯を
愛するあなたを



自分は本当に人間なのだろうか
抱いてはならない感情が頭を擡げる
それを見上げたまま立ち尽くす
汚れた魂はいつまでたっても吐き出せない
止められない嗚咽と涙
綺麗なものは流れていくのに