邯鄲の夢(2) - side f - 夕立

どんなに饒舌な日でも寡黙になるね
体を預けるように守ってくれるようにゆっくりと動く
大粒の汗がひとつひとつ落ちてくる
暑さと熱さからは考えられないほど冷たい粒
少しずつ昇って逝って達っしてしまう
抱きしめる事もできなくなる
程なく離れる気配
かちっと言う音がして
じじっと煙草の先に火が燈る匂い
少しずつ戻ってくる自分の感覚
煙は嫌だけど匂いは好き
なんでだろう
街の中でもその煙草の匂いに振り返ってしまいそうになる
銘柄さえわからないんだけど