青いままで

親愛なるお月様
僕はいつまで子供なんでしょうか
もう随分遠くへ来た気がします
けれども先はこの夜みたく見えないままです
優しく夜を照らしてくれるのに
僕の明日は照らしてくれないのですか
なんて下らない事を思ったりもします
あまりに普通すぎるから
全部消えてしまうか
全部変わってしまえばいい
心からそんな事を願ったりもします



こんなに平和で
こんなに豊かで
どこか狂っていると解っていても
それすら許すことができる国で
御伽の国の戦争や
誰かの不幸が娯楽として流れて
疲れ切って虚ろな目をした人が溢れていても
何も感じないのはきっと僕が同じ目をしているからなんでしょう
放課後の赤く染まる教室で部活に勤しむ友達をずっと眺めてました
あの頃から何にも変わってないようで
いろんなものを失くしたみたいで
きっともっといろんなものを忘れていて
ときどきとても怖くなります



なんでこんなに中途半端なんだろうって
こんな事を考える事に意味は無いんだって言ってください
何も考えなく済む様に
不純で矛盾な事を考えてしまう出来損ないの頭
粘土や接着剤で固めて空へ蹴り上げて海へ流してください
青いままで居られる様に
空や海に抱かれて同じ広さの心で全てを愛せる様に赦せる様に



思い描いた自分や夢に出てくる誰かや
見た事の無い綺麗な景色や
願いが叶う国や争いの無い世界なんてきっとこの先無いけれど
全ての矛盾を抱えて行くしかないんですね
少しずつ赦せる様に成って生きたいと思います
勢いに任せて口を衝いた小さな嘘
立ち去る時の頬を伝う涙
誰に教えられなくてもやり方なんて生まれる前から知っていたから
小さな背中を抱き締めて頭をくしゃくしゃ撫でて
一瞬でも笑顔が見れたら十分なんです
十分だったんです
いつの間にかそれじゃ足りなくなって
いや足りないって思いこんで居たんです
僕とあの人はやっぱりそれぞれの個でしかなくって
一緒に居る事の孤独
口の中に砂が入り込んだような嫌悪感
どれだけ一緒に居ても
どれだけ近づいても
それが際立って行くのが辛くて悲しくて



未だに空と海が一つにならないのはこういう事なんでしょうか